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はじめに
日々の診療の中での患者様、ご家族とのやりとりの中で、我が国の精神医療において見過ごせない問題が山積みであることを感じています。
うつ病患者の急増が社会問題となって久しい年月がたっています。1996年には43.3万人であった患者数は2008年には104.1万人と9年間で2.4倍に増加しました。また、それに伴い、うつ病治療に使われる精神安定薬や睡眠薬の使用率も上昇しています。
もし、あなた自身や、あなたの大切な人が今、精神医療をうけているなら、そして不安や疑問を感じているならなおさらのこと、一度考えてみてはもらえないだろうか。「診断は、処方された薬は間違ってはいないか」と。
この問いに対して、あなたは「専門家である医師が間違えるはずはない」と思うかもしれない。確かに、それは無理のないことだと思う。私たちも長い間、そう思ってきた。そう思わされてきた、というべきかも知れない。
しかし、もしあなたが、治療を受けるたびに薬が増えている、副作用が増えている、「おかしい」と感じているなら、それは誤診、誤処方によるものかもしれない。
私たちは決して不安をあおりたいわけではないが、残念なことに、私たちの実感として、それほどまでに今の精神医療は誤謬に満ちている。
笠陽一郎他 「精神科セカンドオピニオン」より
このような例は少数かもしれません。しかし、実際に当院を訪れる多くの患者様が実際に多すぎる薬と副作用によるめまいふらつきなど多くのつらい症状を経験なさっています。
投与された不適切な抗精神病薬やその副作用を抑えるための薬によっても副作用が引き起こされており、しかもそれを主治医が精神疾患の主症状と決めつけ、さらに不必要な薬を投与するという悪循環が見られます。
このようにしてつくりだされた薬剤性精神病により、患者様によっては長期にわたって入院を余儀なくされ、人生の大半を棒に振ってしまうこともある様です。
一方で、最近はインターネットなどにより多くの情報(いい情報も悪い情報も)が簡単に得られるようになりました。
多くの診断名、処方内容に疑問をもった患者様が自己責任で減薬を試みているようです。
しかし、それは薬との離脱症状との闘いでもあり、ときには命の危険を伴うものです。
精神科医療がこのような現状になってしまうのには理由があります。それは現在の精神科医療が患者個人を治すものでなく、患者の周囲の人の安全を確保するための社会的な治療であるからです。
健康な人が向精神薬を服用すると、薬が効いている間はほとんど身動きがとれません。向精神薬はそれほど強力な鎮静剤なのです。
患者が暴れて犯罪性を持つのを抑えるために鎮静効果のある薬品を使っているのが現在の精神医学の主軸であり、根本原因を治癒させるわけではありません。
ですから、統合失調症の平均入院日数は609.5日で他の疾患と比べて突出して長くなっています。
向精神薬は現代の見えない拘束衣なのです。
我々のめざす医療(分子栄養学、低血糖症、副腎疲労症の概念)
そのような中で、分子整合栄養医学が注目されはじめています。
分子整合栄養医学はビタミンCの研究で有名なライナス・ポーリング博士により提唱された学問で、「脳内の化学物質のアンバランスが精神的症状を引き起こす」という概念がベースになっています。
このアンバランスを戻すためには十分な量の栄養素を補給して細胞の機能を正常化することが必要です。
この医療理論が発表された当時はメガビタミンなどと言われてかなりの批判を浴びましたが、近年、脳内の化学物質の解明が進むにつれ、この治療が脚光を浴びるようになってきています。
カリフォルニアで開業し、世界各国から患者が訪れる、米国の精神科医マイケルレッサー博士は精神疾患の原因をビタミン不足や脳内アミノ酸の不足、脳アレルギーや毒物の蓄積、ホルモンのアンバランスなど9種類にわけ、それらを一つずつ調べて、治療を行い、患者の社会復帰に成功しています。
レッサー博士は、「精神疾患は低血糖の海の上を漂っている」とも述べています。
この低血糖症が現在ますます多くの精神疾患患者が増えている理由を説明しています。
脳は体全体の20-30%を消費するので、低血糖状態となると、無駄なエネルギー消費を抑えて脳を守るために眠気が襲ってきます。
また、理性をつかさどる大脳皮質に栄養がとぼしくなるために、理性の働きが鈍ってきます。低血糖時にはまず、生命維持に関わる部分にブドウ糖が優先して分配されるので、理性的判断がしにくくなるのです。
また、一方で血糖値をあげるために分泌されたアドレナリンが情動をつかさどる分野を刺激して、感情的興奮(怒り、悲しみ、敵意、恐怖感、悪夢、不眠、自殺観念)を引き起こすのです。
低血糖症は多くの症状を呈するため、誤った診断をされる事が多く、特に精神疾患領域では、統合失調症、うつ病、パニック障害、慢性疲労症候群、登校拒否、ADHDなど、さまざまな病気に診断されている事があります。
この低血糖症ですが、多くはすい臓の機能障害によってインスリンの過剰分泌や分泌の遅延などが原因であります。食事の摂り方や、サプリメントによる栄養素の補給による栄養アプローチによって多くの患者さんは改善傾向を示し、時に完治といえるほどの状態の改善を示します。
しかし、ある患者さまは、一般的な低血糖症の治療によっても症状の改善がなく血糖値の変動にともなう様々なホルモンによって引き起こされる症状が継続し、苦しい状況に変化が付けられないことがあります。
そのような患者さんの中には、副腎という臓器の機能が低下している方々がいらっしゃいます。
それが副腎疲労症候群です。
ストレスがかかると副腎から抗ストレスホルモンである、コルチゾールが放出されて体が守られます。
しかし、現代社会に生きる人々は24時間、体にストレスがかかっており、体の恒常性を保つために副腎が休みなしに働いています。
これを繰り返していると、やがて副腎が疲弊、疲労してくるのです。
これを副腎疲労症候群とよんでいます。
症状があっても、臨床検査では基準値範囲内ということで治療の対象にならず、悪化するケースもあります。
原因はさまざまですが、共通しているのはストレスが持続していることです。
治療はライフスタイル食生活の改善に加えて栄養補給をすることです。
特に大事なのがコレステロールからコルチゾールを合成するのに不可欠なビタミンCです。副腎疲労症患者は体内のビタミンCが枯渇しています。
このような患者に対してサプリメント療法に加えて、ビタミンCの点滴をしたところ著効を認めています。
当院では当初副腎機能低下症と診断した66名の方に対してこの治療を行い、63%の方に何らかの改善を認めました。
私のクリニックでは2004年からこの治療法を取り入れて、低血糖症やビタミン、ミネラル不足など精神症状をきたす病態に対する栄養アプローチをおこないつつ、不適切な、必要のない薬に対して、減薬を行っています。
食事と精神症状について
食事や栄養状態、生活環境は精神症状に多くの影響を与えます。
脳内の生化学的なアンバランスで精神疾患のような症状が現れることがあります。
当院では様々な問診、検査を駆使してそのような体内のアンバランスが精神的症状に及ぼす影響を分析し、対応を行っています。
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